はじめに |
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第1部 放射線被曝被害をめぐる現在の情勢、日本政府・政府側専門家たちの福島原発事故放出放射能による健康被害全否定論(「ゼロ」論、全く「ない」論あるいは「被曝安全安心」論)のさらなる露骨化・暴論化・デマゴギー化とその反被曝運動内部への反映について、過去のグローバルな被曝被害の歴史を対置して批判することの意義について |
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第1章 日本政府・政府側専門家たちの福島原発事故放出放射能による健康影響全否定論(「ゼロ」論、全く「ない」論あるいは「被曝安全安心」論)の新しい展開
- 原子力規制委員会が事実上「致死線量までの被曝」を受忍せよという恐ろしく危険な事態
- 日本政府による「予防原則」の全否定
- このような法外な被曝基準解釈引き上げの背景と衝動力
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第2章 被曝被害の歴史的な経験・事実・エビデンスに立ち帰ること |
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第3章 ICRP・UNSCEAR・BEIRなどのリスクモデルの評価について
- ICRPなどのリスクモデルは被曝影響が「ある」と認めている
- 住民帰還政策のICRPリスクモデルによる分析:それが住民の「大量殺戮」とならざるを得ないことの1つの例証
- 放射線被曝による致死線量の国際機関による推計値
- バンダジェフスキー氏による内部被曝による半数致死線量
- 復興庁パンフレットに見る放射線致死線量の公然かつ露骨な無視
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第4章 日本政府・専門家による胎内被曝影響・遺伝的影響が「ない」という虚偽主張
- UNSCEAR2001年報告の不誠実な引用
- 胎児影響・遺伝性影響の存在は実証されている
- 被曝2世調査の結果でヒトについての遺伝性影響全体を否定することはできない
- ICRPもUNSCEARも人間の遺伝性影響を認めている
- UNSCEARによる遺伝的影響の過小評価とECRRによる補正の試み
- 遺伝的影響の中でのトリチウムの特別の危険性
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第5章 汚染水を海洋投棄するためにトリチウムの危険性ゼロを宣伝する日本政府と専門家 |
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第6章 自然放射線や医療用放射線など「身の回りの日常的に存在する放射線」について
- 自然放射線の危険性について
- カリウム40の内部被曝と放射性セシウムあるいはストロンチウムの内部被曝との区別
- 医療診断被曝のリスクについて
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第7章 「心理的ストレス」によってがんの過剰発症をどこまで説明可能か? |
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第8章 日本政府の被害「ない」論の暴論化とその反原発・反被曝運動への反映、福島原発事故による被曝被害をめぐる根本問題とそこでの理論的「動揺」の種々の諸形態
- 財界首脳でさえ影響が「ある」ことを認め福島原発事故の被害想定に言及している
- 福島事故による被曝影響の評価に関する諸見解と反原発・反被曝の運動内の状況
- 被曝影響をめぐる現在の根本的問題、基本的な対立関係――「ある」か「ない」か
- 反被曝運動内部の動揺のいろいろな現れ
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第2部 グローバルヒバクシャの概念とその基礎にある核被害(被曝病態・疾患・症状)のグローバルな共通性あるいは本質的同一性 |
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はじめに――被曝集団の病態学的・症候学的序説
- 福島原発事故による被曝者とりわけトモダチ作戦兵士・士官・軍属に現れた疾患・症状と以下との比較
- すでに解明されているか推測されている放射線被曝影響と対応する基盤病態(↑↓は論理上それぞれ上の項目に戻る・下の項目に進むの意味)
- 分子病態学・臨床医学などの進歩により解明されつつある上記の基盤病態から生じる広範囲の疾患・症状
- 基盤病態を介して疾患・症状が放射線誘因あるいは関連である可能性が示唆される
- 被曝の場合の疾患・症状の発現の特徴、不確定な複数あるいは多数の疾患・症状の同時並行的な進行
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…58 |
第1編 広島・長崎原爆の被爆者、核実験での被曝者、チェルノブイリ事故の被曝者に現れた疾患・症状 |
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第1章 広島・長崎での原爆投下による、物理的身体損傷以外の健康被害についての記録
- 広島市・長崎市原爆災害誌編集委員会編『広島・長崎の原爆災害』
- 原爆被爆者調査によっても低線量被曝によるがんの過剰発症が証明されている
- 肥田舜太郞氏による「原爆ぶらぶら病」の提起、先駆的な業績
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…63 |
第2章 核実験による健康被害
- ドネル・ボードマン医師による、原爆投下後入市したり核実験に従軍したりして被曝した米軍兵士および市民などにおける「低線量放射線障害」の特徴づけ:肥田舜太郞訳『放射線の衝撃
低線量放射線の人間への影響(被爆者医療の手引き)』アヒンサー(2008年、原著1992年)より
- ネバダ実験場における大気圏核実験による被害健康被害に関する最近の研究(未完)
- 太平洋諸島での核実験による健康影響、日本の漁船・船舶の乗員を含む
- ビキニ水爆実験による日本の漁船員の健康被害
- マーシャル諸島住民の被曝被害
- サハラ砂漠、ムルロア環礁でのフランスの核実験による健康被害(未完)
- 中国の核実験による健康被害(未完)
- ソ連の核実験による健康被害(未完)
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第3章 チェルノブイリ原発事故による健康被害の全体像
- ヤブロコフら『チェルノブイリ被害の全貌』(原著2009年)
- チェルノブイリ原発事故以後の東欧諸国の人口2200万人減少――ヤブロコフらの100万人の犠牲者という被害推計は「控えめなもの」というのが自然ではなかろうか?
- ロシアの人口動向
- ベラルーシの人口動向
- ウクライナの人口動向
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…78 |
第2編 最近の分子生物学・分子病態学から見た放射線被曝による健康影響の理論的に考え得る機序について |
…90 |
第1章 放射線によるDNA・ゲノム・細胞小器官(ミトコンドリアなど)の損傷
- 一般的に考えられているモデル
- エリック・ホール氏による直接的作用の範囲の拡大
- 青山・丹羽編『放射線基礎医学』による放射線のミトコンドリアやリソソームなど細胞小器官への作用機序の拡大
- 吉川敏一監修の『酸化ストレスの医学 第2版』による放射線により引き起こされる酸化ストレスのミトコンドリア損傷を通じて慢性炎症に導く作用モデル
- 小林正伸氏による放射線のDNAクラスター損傷のモデル
- DNA内部の水素結合に取り込まれたトリチウムの壊変によるDNA損傷モデル
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…90 |
第2章 がん:がん生物学・腫瘍学の最近の革命的発展、がん発生・進展過程の全体的解明の進行、放射線影響の解明の課題――がんの遺伝子(ゲノム)変異の「蓄積」による「多段階」発症・悪性化
- 発症・進展の全体像が分子生物学的に明らかになりつつある
- 「①さまざまながん化関連遺伝子への変異導入とその固定、および②多段階的な③変異の蓄積」による発がんと悪性化
- がん生物学教科書の説明――大腸がんの例
- ICRP2007年勧告の説明
- 最近の研究上のキーポイント――ゲノムの変異の全体を捉える
- がん遺伝子(の活性化)とがん抑制遺伝子(の失活)
- がんの遺伝子異常のまとめ(渋谷・湯浅前掲より)
- ゲノム不安定性(DNA、ヒストン、クロマチン、染色体)
- がん発症・進行・悪性化における免疫系および炎症の役割
- がんの発生・進展の原因・誘因=環境汚染・放射線被曝を含む「複合」要因
- がんの発生・進展に対する放射線影響:もっと広く、しかも長期にわたって蓄積されると考えるべき
- 放射線の影響再論
- 放射線影響下でのがん発現までの期間(潜伏期間)の問題点:がん発生・進展のどの時期でどれだけの量被曝したかで違う
- 子供の甲状腺がんについて『甲状腺腫瘍 診療ガイドライン』による放射線被曝の位置づけ
- 各種がんの放射線感受性
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…97 |
第3章 放射線が生みだす活性酸素・フリーラジカルとそれによる酸化ストレス(ペトカウ効果)による健康影響の可能性――酸化ストレスという機序からのアプローチ
- 酸化ストレスによる被曝影響の短期的および長期的過程
- 活性酸素・フリーラジカルがもたらす酸化ストレスに関連する疾患・症状の一覧
- 放射線被曝による酸化ストレスの例証:チェルノブイリの汚染地域の子供たちが示す高いフリーラジカルの量
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…127 |
第4章 放射線が生みだす長期的細胞炎症(バイスタンダー効果)がもたらす健康影響の可能性――多様な疾患の基板病態である慢性炎症という機序からのアプローチ
- 放射線による慢性炎症
- 慢性炎症の発生と進行の考えられているモデル
- 放射線が生みだす長期的細胞炎症を介して放射線影響の可能性のある疾患・症状
- 放射線被曝状況下でのがん生存期間の減少、その説明の1つとしての被曝による慢性炎症の増悪の可能性
- 有機トリチウムが体内脂肪として脂肪組織および脂肪の比率の高い脳に蓄積し、脂肪炎症の引き金の一つとなり、広範囲の代謝性症候群や脳内炎症性疾患・脳腫瘍および広範囲の炎症性疾患の基礎となっている可能性について
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…132 |
第5章 放射線被曝によるミトコンドリア損傷を通じた機序から考えられる健康影響 |
…140 |
第6章 イオンチャネル系に関連する疾患・健康障害――放射性セシウムによるカリウム・イオンチャネル系の阻害ほか |
…141 |
第7章 アルツハイマー病および糖尿病と放射線被曝影響の可能性についての例証 |
…153 |
第8章 放射線被曝による免疫系への影響
- 青山・丹羽編『放射線基礎医学』における放射線免疫学の叙述
- UNSCEAR2006報告における放射線の免疫系への影響の叙述
- 日本医師会『血液疾患診療マニュアル』(2000年)が記載する免疫機能低下による易感染性症状群
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…155 |
第9章 ホルモン・代謝系への影響(三田茂医師の研究に関連して) |
…159 |
第10章 腸内細菌叢の撹乱を通じた機序から考えられる健康影響 |
…165 |
第3編 放射線による影響の受けやすさ(放射線感受性)の個人差について |
…165 |
第1章 年齢別の放射線感受性の差異 |
…165 |
第2章 放射線感受性の男女差 |
…167 |
第3章 遺伝子変異による放射線高感受性 |
…169 |
第4章 放射線感受性による被曝基準の諸個人への適用上の問題あるいは避難の権利――放射線高感受性集団にとってのLNT仮説の非人道的・人権侵害的側面 |
…172 |
第4編 福島原発事故における被曝被害 |
…175 |
第1章 福島事故による被曝状況:福島原発事故の放出放射能量、福島事故に特有の放出形態である不溶性放射性微粒子、福島事故による住民の被曝量
- 福島事故による放射能放出量の推計
- 東京電力「福島第一原子力発電所事故における放射性物質の大気中への放出量の推定について」(2012年5月)より
- 日本政府の見解:原子力安全・保安院の2011年8月26日発表「東京電力株式会社福島第一原子力発電所及び広島に投下された原子爆弾から放出された放射性物質に関する試算値について」
- 福島原発事故に特徴的な放出形態:不溶性放射性微粒子の特別の危険性
- 福島原発事故の放出放射能がもたらした実際の被曝量の推定――山田国廣氏による小児甲状腺被曝線量の推計
- 米国防総省発表の福島原発事故による甲状腺被曝量の推計
- 山田国廣氏による外部被曝初期被曝量及び積算線量の算定をベースとした福島原発事故の場合のチェルノブイリ方式による避難基準の試算
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…175 |
第2章 福島原発事故での例証1:福島原発事故によって生じたプルーム(放射能雲)に突入し被曝したトモダチ作戦従軍米軍兵士・士官・軍属の訴える症状・体調不良 |
…199 |
第3章 福島原発事故での例証2:三田茂医師が提起する福島原発事故での放射線被曝による「能力減退症」 |
…205 |
第4章 福島原発事故での例証3:「能力減退症」の他の実例と放射線被曝とネオニコチノイドの複合影響の可能性――子供の知的能力の低下が十分に考え得るという論拠
- 衝撃的な『日経サイエンス』「宇宙放射線で脳障害」論文
- 群馬県で行われた山林へのネオニコチノイド散布との複合影響の可能性
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…208 |
第5章 福島原発事故での例証4:福島および関東圏からの避難者の経験した健康被害の概観
- 福島からの避難者の手記に現れた症状
- 関東・東北からの避難者およびその周囲の人々が経験した症状
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…215 |
第6章 福島原発事故での例証5:NHKが報道した日本の「生殖危機」
- NHKの番組が報道しなかった環境・放射線影響
- 極低線量から観測されたチェルノブイリ事故後の鳥の精子数の減少と無精子雄鳥の顕著な増加
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…218 |
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第3部 福島原発事故の放出放射能による健康被害の全否定論(「ない」論あるいは「ゼロ」論)の社会経済的すなわち帝国主義的基礎と政治的意味、第二次大戦後のグローバルな規模での被曝過程の中で見た福島原発事故被曝正当化論 |
…222 |
第1章 UNSCEARによる第二次大戦後の人為的放射線源由来の集団線量を歴史的に集計する試みについて
- UNSCEARの発足時から規定された二面的で矛盾した本質と核帝国主義的利害の貫徹
- 被曝被害の全体像を世界的・歴史的に総括しようとしたUNSCEARの試み
- ECRRによるいろいろなICRPモデル過小評価係数について
- 福島級原発事故が6回繰り返されるようなことがあれば全核実験放出量に匹敵
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…222 |
第2章 歴史的な被曝強要政策のもつ帝国主義的性格と反被曝の要求のもつ客観的な反帝国主義的性格およびそれらの展開
- 広島原爆や核実験による放出放射能と比較すれば、福島事故の被害が「全くない」というようなことは最初からありえない
- 被曝被害を国民に強要し受忍させることを軸に展開される政府の政策――民族自滅への道
- 事故放出放射能への被曝による「見えざる核戦争」の世界史的な性格
- なぜそのような恐ろしい事態が生じているのか――被曝強要の帝国主義的基礎とそこからの出口
- 帝国主義からの反原発要求とその限界――小泉元首相の例
- 反被曝の運動が客観的に帯びざるを得ない反帝国主義的性格
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…230 |
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結語に代えて――アンデルセン「裸の王様」の物語の新しい意味――「学ぶ」 |
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謝辞 |
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付録 財界首脳が事故により数十万人の犠牲者が出ることを認識していたという一証拠 |
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