2018.5.13 事務局長 佐藤和利
pdfで読む 主な活動報告
測定所に求められる役割について
- 放射能汚染の拡大
福島第一原発事故が起きてから7年が経過しました。しかし、当測定所で測った福島の灰や大豆などの結果を見れば、依然として汚染が続いていることは明らかです。
さらに、福島県の県民健康管理調査で見つかった小児甲状腺がんの拡大、死産や新生児死亡の増加、心疾患による死亡の増加など、放射能による健康被害が明確になってきています。
まさに放射能汚染による影響が、深く静かに広がり続けていることを実感します。
- さらに被害を拡大する政策
原発事故以降、世論は一貫して原発に反対する声が多数ですが、政府・電力会社は原発再稼動を推進しています。京都の北、若狭の高浜、大飯の原発が再稼動しました。
再稼動をしやすくするため、福島事故の被害を小さく見せ、賠償もやめ、被曝しても住まわせようという政策が露骨になってきています。原子力規制委員会の放射線審議会は3月2日、放射線被曝の基準を緩和する検討を開始しました。これまでは空間放射線量「毎時0.23マイクロシーベルト」が年間追加被曝1ミリシーベルトに相当すると計算していました。しかし更田(ふけた)委員長は、計算式を変えて、毎時1マイクロシーベルトの所で生活しても年間1ミリシーベルトに達しないように計算することを打ち出しています。汚染の実態を消し去り、市民に被曝を強要するものに他なりません。食品の放射能検査の縮小、モニタリングポストの縮小、汚染土のリサイクルも進められています。原発事故被害への賠償を求める裁判でも、汚染の影響は狭い範囲しか認定されず、低額の賠償しか認められていない状況もあります。
原発を動かして「金もうけ」することを、市民の安全より優先しているからです。
- 市民の測定所に求められる役割
放射能は目に見えません。しかし、それを見えるようにし、警鐘を鳴らすのが私たちの測定所だと考えています。私たちは、「危ない」と感じる市民感覚、人権感覚こそ優先されるべきだと考えます。食の安全、働く人の安全、生活する人の安全が第一です。水俣病をはじめとする公害問題の教訓を今こそ生かす時です。
だからこそ、市民のための測定所を継続し、測り続けることが必要だと考えています。
総括案
- 昨年5月の会員総会以降の取組み
- 5月14日に開設5周年のつどい&会員総会を行い、11月4日には第5回測定所まつりを行いました。
無料測定会、勉強会、講演会も開催しました。(別紙参照(主な活動報告))
- 測定所西日本ネットワーク会合に出席し、各地の測定所と連携を深めました。
- ホットスポットファインダー購入カンパ約125万円を集めましたが、購入後の運用が定まらず、購入にはまだ踏み切れていません。
- 課題
この1年間は、測定所の運営にとって厳しい1年でした。放射能汚染の実態をつかむためには、測定件数を確保することが必要ですが、測定依頼がほとんど来なくなっていることが大きな問題です。汚染の検出例が少なくなってきたため、「測らなくても大丈夫かも」という安心感が広がっているのかもしれません。しかし、福井の原発が再稼動したことを考えれば、京都の地場の野菜や米が不検出であることも大事なデータです。万一の時に、事故前と事故後を比較することができます。そういうデータの蓄積ができなくなるのは、測定所の存立意義にかかわります。会員数が減っていることも、京都測定所の維持運営も苦しくしています。
方針案
- 財政基盤を建て直すため、会員拡大と測定依頼の拡大をめざそう!
会員・サポート会員を200名、測定依頼20検体/月を目標に、会員拡大と測定依頼の拡大をめざします。
そのためにスタッフ一同がんばりますが、会員のみなさまにも会費の更新と測定所の宣伝等へのご協力をお願いいたします。
- 魅力のある測定所主催の企画をつくり、会員・一般の方が足を運んでもらえる場所にしていきます!
測定所主催の学習会と無料測定会を継続開催し、新しい会員の獲得と収入増をめざします。
最先端の研究成果を、研究者の方たちとのつながりを生かし、市民に広げていきます。
本日の講演内容につきましては、報告集にまとめ、市民に広く知らせていく予定です。
- 測定依頼を拡大するために、郵送による検体受付を開始します。
受付ルールを決め、6月からはじめます。
- 汚染の拡大に反対する取組み
線量計算式の改悪、放射能検査の縮小、モニタリングポスト削減など、汚染の実態を隠す政策に反対します。
そして汚染土壌のリサイクル、トリチウムを含む汚染すいの放出など、汚染の拡大を進める政策に測定所として反対していきます。
- 各地の測定所とのネットワーク強化
市民放射能測定所・西日本ネットワークの活動への継続参加と、企画を積極的に担います。
みんなのデータサイトに京都測定所の測定結果をアップし、汚染の実態を市民に知らせる取り組みを進めます。
- ホットスポットファインダーの購入実現
高浜原発をはじめ若狭にある原発周辺を定期的に監視していくため、懸案となっているホットスポットファインダーの運用方法を確定し、購入に踏み切ります。そして、購入後の活用方法を具体化していきます。
- 測定所運営の強化とスタッフ拡大
これらの方針を進めていくためには、測定所スタッフの人員拡大と力量アップが必要です。
新しいスタッフを獲得し、運営を担えるスタッフを育成することをめざします。
財政基盤の強化のため、測定所の経費の見直し、測定手当の見直し、助成の拡大を月例ミーティングで検討し、実施していきます。
測定報告、ブログ・ホームページ・メーリングリスト、会報発行など、測定所からの情報発信を、引き続き強化します。
2018年度 京都測定所 役員
代表 |
奥森 |
副代表 |
楠本(兼 三条御前測定依頼所・所長) |
副代表 |
福島 |
事務局長 |
佐藤 |
会計 |
中澤 |
総務 |
中田 |
会計監査 |
神田 |
運営スタッフ |
高木、神保、藤原、菊池、上野、齋藤 |
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