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 ◆ 第6回測定所まつり
  六ケ所村の現状と放射線被曝による健康被害
  
核燃料再処理工場が本格稼働したらどうなるの?

【当日講演資料】

 東京電力福島原発事故のために溜まった「汚染水」、処分に困って海に放出しようという動きがあります。その焦点の1つが「トリチウム」です。
 放射性物質トリチウムは水と変わらない性質をもつため、内部被曝の危険が非常に高いものです。
 原発の通常運転でも放出され、地元住民に白血病死の増加など健康被害をもたらしています。
 そして青森県六ケ所村に建設された「核燃料再処理工場」は原発より桁違いにトリチウムを出す、恐ろしい施設です。
 講師の遠藤さんは医師の立場から被曝の危険をわかりやすく語っておられます。再処理工場に反対し、六ケ所村の村長選挙でも訴えてこられました。
 ぜひ遠藤さんのお話を聞いてください。



 12月9日(日)13時30分~16時30分

 ウイングス京都(阪急烏丸駅または地下鉄御池駅下車)
  アクセス

 参加費:会員・避難者800円 一般1000円

 講師:遠藤順子さん(内科医 青森市)

  ※ チラシは右の画像をクリックすると、pdfで見られます

12/9 第6回測定所まつりチラシ

放射能と生命は相入れない

医師 遠藤順子

 皆さん、こんにちは。
 私は、今年6月の六ケ所村村長選挙に「反核燃」の立場で立候補しました。

 六ケ所村は、日本原燃社員が人口の4分の1以上(人口約1万人中、日本原燃社員約2700人)を占め、その家族や関連会社を含めれば人口の6割以上を核燃関係者が占めています。ですから、「核燃反対」を唱える候補が村長選で勝利できる可能性はありません。

 それでも私は、「放射能と生命は相いれない。それ故に、核燃サイクル・再処理と第一次産業(漁業、農業)とは両立しない」と六ケ所村で訴えました。実際に、再処理工場が本格稼働して大量の放射性物質が海や空へ放出されたなら、それは環境中を循環し、海や大気だけでなく、土壌も川も森も山も湖もすべてを汚染されるのです。そこに暮らす人間のみならず、周辺の人々も海産物も農産物も”安全”とは言えなくなります。

 再処理工場の放出する放射能は、原発の比ではありません。しかも、海に流されるトリチウムは、年間1京8,000兆ベクレルという膨大な量で、これが合法的に放出されることになるのです。福島第一原発敷地内のタンクに貯められている大量のトリチウム汚染水を海に放出するという話も持ち上がっていますが、許されることではありません。トリチウムは「低エネルギーだから心配ない」とか「人体に影響はない」とか云う人がいますが、そもそも内部被曝による人体への影響はマンハッタン計画以来現在に至るまでほとんど軍事機密とされてきたのです。トリチウムは三重水素です。簡単に生物の構成組織内の水素と入れ替わり、有機結合型トリチウムを形成します。昔からその作用を利用して様々な実験に使われてきました。

 細胞の組織と結合したトリチウムがβ崩壊したとき、体の組織の一部が破壊されます。遺伝子でも細胞膜でも酵素でもミトコンドリアでも細胞質でもあらゆる部分でこのようなことが生じ得ます。ガンだけではありません。様々な病気が起こり得るのです。「放射能による影響とは証明できない」とよく言いますが、疫学的には明らかです。トリチウムが大量に放出される原子炉周辺や再処理工場周辺では、小児の脳腫瘍や白血病が増えています。現在の権力側が、それを放射能による被害と認めたくないだけです。原因不明の病気もたくさんありますが、最近、活性酸素による人体への影響や病気との関係が徐々に解明されてきています。

 低線量放射線が体内で発生させる活性酸素によっても、人体の細胞膜が酸化されたりミトコンドリアが傷害されたりして、様々な病気が起こり得るのです。実際、福島原発事故後にアルツハイマー病やパーキンソン病、感染症などによる死亡率増加が統計学的に証明されています。このまま放射能が垂れ流され続ければ、人類のみでなく地球上のあらゆる生命の危機が訪れると思います。全ての生命の継続のためには、原発核燃をすぐにやめる以外の選択肢はありません。

 私は今後も医師として「放射能と生命は相いれない」と訴え続けます。

※「子ども脱被ばく裁判」の会の会報第10号(2018年9月発行)に寄稿された文章を、ご本人の了解を得て転記させていただきました。(佐藤)


遠藤順子さんのプロフィール
1959年 北海道釧路市生まれ
室蘭栄高校卒、室蘭工業大学化学科卒、弘前大学医学部卒
日本核医学会PET核医学認定医
日本医師会認定産業医
現在、津軽保険生活協同組合健生病院 非常勤医師
著書
「放射線被曝の争点~福島原発事故の健康被害は無いのか」(緑風出版 2016年共著)
  第二章トリチウムの危険性を担当
「環境・地域・エネルギーと原子力開発-青森県の未来を考える-」(弘前大学出版会 2013年共著)
  第3章内部被ばくについて~放射線科学の歴史から紐解く~を担当

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