原子炉等規制法では、原発解体で生じるコンクリートや金属等の「安全に再利用できる基準」(クリアランスレベル)は100ベクレル/kg以下と定めています。
環境省は、3月、東京電力福島第1原発事故後の除染で出た8,000ベクレル/kg以下の汚染土を、「遮蔽および飛散・流出の防止」を行った上で、全国の公共事業(道路等)で利用できるという方針を決定しました。
しかし、コンクリートで覆う等で放射線を遮蔽しても大地震が発生すれば、道路が陥没、崩壊し汚染土はむき出しになり環境中へ放出されます。「想定外の自然災害」による構造物の破壊はこの間の教訓です。
汚染土で盛り土を造り放射線量を測る実証実験を年内にも始めようとしていますが、そもそも、隔離しないで道路等の公共物として使用しながら170年間(再利用方針を決定する際、クリアランスレベルまで減衰するとした試算期間)も管理するのは非現実的であり意味のない実証実験です。
環境基準を緩くすれば日本に海外の汚染物質が外国から入ってくることも懸念されます。
通常の発生土を使わずに汚染土を使おうという動機づけのため、仮に「逆有償」で引き取らせるようなことになれば、その後不法投棄される危険性もあり、再利用は汚染の拡大につながります。
以上のことから、「8000ベクレル/kg以下の汚染土を公共事業で再利用」する方針の撤回を求めます。
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