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 ◆ 「食品の放射能汚染基準値の緩和に反対する意見書」の提出 (2014年4月20日)


原子力規制委員会
田中委員長殿


食品の放射能汚染基準値の緩和に反対する意見書

 2014年3月5日、原子力規制委員会の田中委員長は記者会見で、一般の食品に含まれる放射性物質濃度を1キログラム当たり100ベクレルとした国の基準について「欧州の10分の1以下(の厳しさ)で非常に疑問だ」と述べ、近く設置する放射線審議会で、基準の緩和も含めた見直し議論が必要との認識を示しました。
 私たち京都・市民放射能測定所は、内部被曝による健康被害をもたらす基準緩和は絶対に許すことはできません。むしろ、現在の100ベクレルという基準こそ見直し、大幅に引き下げることを求めます。
 
 チェルノブイリ原発事故による食品汚染によって、甚大な健康被害が出ていることは「ウクライナ政府報告書」など周知の事実です。健康被害を防ぐために存在するはずの原子力規制委員会が、健康被害を加速する基準緩和を進めるなど言語道断です。
 そもそも、低線量被曝であっても人体に影響を与えることは、『妊婦への放射線検査によって生まれた子のがん発症リスクが上昇した研究報告(Alice Stewart 1956 Lancet)』などで明らかです。そして放射線影響研究所も、放射線影響に閾値がないことを報告書(2012年 第14報)で明示しています。
 本年2月7日に発表された福島県「県民健康管理調査」の検査結果によると、小児甲状腺ガンとその疑いが74例に達し、異常多発していることが明白になり、3月11日の「報道ステーション」でも取り上げられました。放射能汚染の脅威が、福島をはじめ近隣・関東圏の居住者、そこからの避難・移住者に深刻な不安をもたらしている今こそ、率先して被害に警鐘を鳴らし対策を打ち出すべき規制委員会が、任務を放棄するばかりか被害の拡大に手を貸すような行為は、許されるものではありません。
 
 当測定所では、食品汚染の実態を監視し続けていますが、思いがけない汚染食品が流通していることに驚かされます。今後100ベクレル/Kg以下の食品を摂取し続けることで、被害のリスクが蓄積されていくことを非常に懸念しています。
 田中委員長は発言を撤回し、むしろ規制の強化を実施されることを強く求めます。

2014年4月20日

京都・市民放射能測定所
代表 奥森祥陽
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