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 ◆ 決議文 19/7/20シンポシンポジウム「福島原発事故は本当に甲状腺がんと無関係か」 において

決議文

シンポジウム「福島原発事故は本当に甲状腺がんと無関係か」参加者一同

2019年7月20日

 私たちは本日,シンポジウムを開き福島県健康調査評価部会の「甲状腺がんと放射線被ばくの関連は認められない」という所見について議論し、その妥当性について検討しました。その結果、同報告に対して次の結論に達しました。

 福島県および周辺都県の小児甲状腺がんの異常な多発は福島原発事故による被ばくの影響を考慮しないでは説明ができない。その科学的根拠は次の通りである。

 第1に福島原発事故以前の26年間平均では年間100万人当たり28例の発症率であった小児甲状腺がん19歳以下が、評価部会も認めているように、福島県で少なくとも「数十倍高く」発見されている。1,2巡目の調査結果では年間100万人あたり100例近い発見率である。

 第2に福島県や原子放射線影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の報告による住民の被ばく線量は著しく過小評価されていると考えられるが、それらの線量を用いても2巡目以降の調査結果を併せて検討すると、福島県内における各地域の発見率が福島県内各地域の被ばく線量に比例して増加する。

 第3にスクリーニングとは無関係の成人以上の甲状腺がんも福島県で事故後著しく増加している。

 第4に甲状腺がん以外の様々な被ばくによる病気や症状が原発事故後顕在化している。福島県をはじめ全国の死亡率の増加(厚労省の人口動態調査によると全国で事故後2017年までで死亡者数の推定期待値から27.6万人の異常な増加)、周産期死亡率、胃がん、白血病・悪性リンパ腫などの福島近県での増加、複雑心奇形や停留精巣の全国的増加など。これらの原因を総合的に考えると福島原発事故による被ばくを原因とする人的被害であることは明らかである。

 以上の結果を考えると被ばく被害の対策の遅れは明白である。私たちは以下を要求する。
  1. 私たちは福島県健康調査検討委員会が、誤った評価部会の判断「甲状腺検査本格検査に発見された甲状腺がんと放射線被ばくの間の関連は認められない」を棄却することを要求する。さらに経過観察中の診察状況を含めて健康被害の全体像を明らかにすること。

  2. 健康・医療検査を福島県以外にも拡大・強化すること。調査内容を総合的なものとし、血液検査など内容を充実しなければならない。被ばく影響への医療・予防体制を充実し、医療費を公的負担とし、住民・被害者には無料とすること。

  3. 因果関係が完全に証明できなくても、危険性を回避するという人権に基づく予防原則の尊重を政策判断の根拠にすることは国際的に確立されたことである。評価部会の判断は予防原則と人権に反する。特に子どもの甲状腺がんは早期治療が必要であり、「過剰診断」の誤った判断で検査を縮小し悪化を放置することは許されない。

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